伝説の経験値を求めて 

生き方はシンプルに、人生はアバウトに

肺肺するようになってから今までの道のりで【2】

50%の選択余地

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本日もお読みいただきまして、誠にありがとうございます。ゲシバイヌと申します。

 

というわけで、前回の記事の続きです。

自然気胸になったときのショック、数週間病院に閉じ込められる辛さ、生まれて初めての大きめの病気について、引き続き語っていこうと思います。

 

ドレーンを繋がれた翌日の話。

入院生活の幕開けとともに、僕には1つの選択肢が与えられました。

 

主治医となる方が、僕のいる呼吸器内科の病室にやってきたんです。

自然気胸がどんな病気なのか、症例を交えて、詳しく説明してくださいました。

 

そこで決定的なことを言われました。

手術をするかしないかの問いよりも先に、退院したらタバコはダメだよ、と。

何よりも先に、強い口調ではなく諭すように、それもサラッと先生は言ってのけ、却って僕の心に響いた言葉でもありました。

 

で、治療方法の説明に入ります。

僕に残されている手段は、2つのみ。

 

根治療法、読んで字の如く病気の根元から原因を絶つ方法。要するに手術ですね。

もう一つは、自然治癒。これは、ドレーンで空気を抜いているのでそのままにし、空気漏れが収まった時点で治療完了というもの。

 

前者の処置を行った場合の再発率は10%。

後者の処置を行った場合は、再発率50%と言われました。

 

このときの50%は、まさに確率のマジックでした。

 

www.degensetsu.com

 

 

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僕が自由に生活する期待値が根こそぎ削がれていて、普通に考えたら前者の根治療法を選択するのが吉なはず。

 

しかし先生からしても、手術というのは生死の境をさまようような重篤な症状を除いては、安易に勧められないそうです。

ただ、手術すれば再発率は10%程度あるものの、治すという面においては、ほぼ100%の確率で成功するらしい。

 

胸腔鏡手術の手順などは、このとき軽く説明されましたが、手術をするかしないかは僕の選択によって決まります。

 

医師の立場からは勧めることはできないけれど、私があなたの家族だったのならば、きっと手術を勧めていました。

 

上記の言葉は、非常に感動した言葉として僕の胸に文字通り刻まれています。

 

翌日の葛藤

 

手術を決めるまでには猶予がありました。

その間に、親族や友人がお見舞いに来てくれ、今自分が立たされている状況を話しました。

 

1番は、弟の一言でしたね。

そんなの、手術一択だろ?

 

なにげなく放った言葉だったんでしょうが、結構ずっしりきたんです。

 

まあ、そうなんですよね。

普通に考えたら再発率50%を選択する余地はない。

自然治癒は、時間がかかるともいわれていましたし。

 

2週間やそこらじゃ終わらない可能性が高く、ずっと入院していなければならないかもしれないと。

 

いつまでも病院にいいるのは嫌だ。

朝起き、見上げているものが無機質な天井だったときの寂しさといったらないですからね。

 

その当時、僕は体調を崩していたということもあり食欲がほぼなかったんですが、入院したら緊張やらなんやらで拍車がかかっていました。

 

でもジャンクフードが非常に恋しくなったんですよ、不思議と。

マックとかケンタッキーとか、コンビニ弁当とか身体によろしくないものを吸収したいと思うようになりました。

 

それはいつしか、早く退院したいな、という気持ちにシフトしていきます。

 

入院したのはちょうど7月の暑い、今現在のような日だったのを記憶しています。

ああ、懐かしいですね。文字に起こすと。

6年ほど前の今頃は、病院のベットの上で、あーだこーだ悩んでいたんだ。

 

結果的に弟の一言で根治療法を選択することになったのですが、お見舞いに来てくれた方の中で現在も公私ともに仲良くしていただいているバイク屋さんもいらっしゃって、振り返れば彼がいなければ、僕は弱さに負け自然治癒にまかせていたかもしれません。

 

麻酔科医の来襲

 

去年だか一昨年だか、それとも毎年かもしれませんが医療事故は多発していますよね。

麻酔科医が取り沙汰された事件もあった気がします。

 

麻酔ってすごいと思いません?w

 

人間を、それがたとえ岩石のような屈強な男であれ、か弱い乙女であれ、体内に薬剤を流し、あるいは吸引させ、身体の自由を奪うんですから。

 

自由というと少々語弊があるかもしれませんが、身体を麻痺させ痛覚を奪い、その間に身体に孔を開けたり、切開したりする。

 

したがって、手術を選択した僕に待っていたのは、度重なる手術の説明および、麻酔による注意点の個人面談でした。

 

ある日、麻酔科医の方が白衣に身を包みやってきます。

男性で、かなり若かったです。マスクの下から紡がれる言葉には、麻酔薬のような痺れ成分が入っているのか、一言一言に惹きつけられました。

 

何にでもあるのが副作用なので、その説明は欠かせません。

当日の手術の流れで、どのタイミングで全身麻酔の麻酔薬が注入されるのかなど事細かに説明してくださいました。

手術後は、こういう管が繋がれていますとかもです。

 

僕は、麻酔について簡単に捉えていました。

 

手術が本編で、麻酔が外伝。

ですらなく、おまけで手術するんだから、麻酔なんてあって当たり前でしょ、みたいな。

 

ですが現実は違う。

主治医の先生が手術の内容説明をするようにして、麻酔科医の方も親身に話をしてくれるのです。

どこの病院で同じかもしれませんが。

 

僕の中で、こういう手順を踏むこと自体が新鮮で衝撃的でした。

 

ともなれば、麻酔薬やそれを扱う専門分野の方がいらっしゃるということが、何よりも重要なところなわけです。

その人たちにしか扱えないほど、危険な薬を使うんですから。

 

事実、麻酔薬が身体に入ってくる感覚など手術後になってもわからないように……

そのへんは、次回に!