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【犬神家の一族】横溝正史作品に触れてみて

はじまりから複雑怪奇

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          出典:犬神家の一族(著:横溝正史)

 

本日もお読みいただきまして、誠にありがとうございます。ゲシバイヌと申します。

 

今回は書評という立派なものではありませんが、僕の積み本コレクションからようやく読破した、犬神家の一族について話していこうかと思います。

 

読み始めてからというもの、遅読の僕でもその話のおもしろさに、ページをめくる手が痙攣するかのようでした。

 

犬神家の一族の初版は昭和47年となっていて、元々は雑誌「キング」に連載されていました。

今から50年以上も前に書かれた小説が原作です。

メディアミックスが数多くされていて、湖から足が逆さまになって飛び出ている画や、佐清(スケキヨ)と言う名は、誰もが知っているところではないでしょうか。

 

かくいう僕も、犬神家の一族は読んだことはないけれど、知ってはいた作品でした。

 

八つ墓村は以前に読んだことがあったのですが、金田一耕助シリーズとして、認知度も高い今作をこの前読破しました。

 

ページをめくってみてびっくり。

 

結構、複雑。

 

佐清のインパクトが強いのと、佐清に対する先入観で、犬神家の一族は佐清中心の話なんだと思っていました。

 

しかし、実際は違います。

 

確かに佐清はキーマンではありますが、彼を取り巻く環境は筆舌に尽くしがたいものです。

佐清は犬神家の一族のストーリーに欠かせない存在ではあるものの、彼の親族との関係性が一番重要。

 

犬神家の一族というタイトルからもわかるように、この作品は一族、つまり家族間のいざこざが複雑に絡み合ってくるものになっていて、わかりやすく描かれた家系図を見ると一層、難解になるというトリックがw

 

犬神家は財閥です。

犬神佐兵衛(いぬがみさへえ)が築いたこの財閥を誰が相続するのか? というところから、事件が発生していく。

 

犬神佐兵衛が残した遺言状に沿って話が進んでいきますが、そもそもこの遺言状が開封されるまでも、一悶着あります。

 

結構、初めから事件をにおわせてるんですよね。

佐清の有名なマスク姿が作中に登場するまでに、もうすでに事件は発生します。

 

文体も昔ながらの言葉遣いがあったりして、そこも1つの楽しみではあるのですが、何よりも謎が気になって気になって、最近の小説のように違和感なく読み進められるのも素晴らしいと思いました。

 

家族ってこんなにいるんだ

 

年配の方のご親族は、兄弟が多かったり子どもが多かったりしますよね。

昨今は少子高齢化が騒がれているし、大家族が度々メディアでフューチャーされるのが何よりの証拠で、10人兄弟などは珍しい例です。

 

さすがは、財閥といったところでしょうか、犬神家の一族は一族というくらいだから、人数が多い。

 

ちなみに、佐清は長男。

次男、佐武(スケタケ)。

三男、佐智(スケトモ)。

名前が似ているので、そう言いたいところですが、兄弟ではありません。

 

佐清の母親は、松子。

佐武の母親は、竹子。

佐智の母親は、梅子。

 

覚えやすいですねw

松子たち母親の父親は、犬神佐兵衛になるわけです。

 

加えて、松子、竹子、梅子の三姉妹の父親は犬神佐兵衛ですが、母親は3人とも違います。

犬神佐兵衛は、正妻を持たずに妾との間に子どもを産んだんです。

 

何故そうなったかが、作中後半のカタルシスに繋がっていくわけですが、当然割愛。

 

犬神佐兵衛の遺言状を含めた思惑が、だんだん意味として繋がってくるときの高揚感と言ったらないですね。

 

遺言状があそこまで人間関係を崩してくるのか……というくらい、犬神佐兵衛の残したあの書は、いや、あの書こそが「犬神家の一族」を物語っている。

 

遺言状は佐清が復員してきたとき、家族全てが揃ったときに開封されることになっていて、弁護士から読み上げられる場面は、一度じゃ内容が理解できないかもしれません。

 

僕が、そうでした。

家系図が頭に入っていても、その遺言状の内容がこれまた複雑なんです。

 

ただ、1つはっきりわかるのは、野々宮珠世という犬神佐兵衛と妾との間に生まれた、絶世の美女が得をするということ。

 

全てにおいて、野々宮珠世が得をする内容になっているんです。

この何故? が、わかってきたときも本当にワクワクが止まりませんでした。

 

点と線が繋がるミステリーの醍醐味

 

ミステリー小説は、謎が解けていくところに楽しさが集約されていると思います。

ですが、今作は今まで読んできたミステリー小説の中でも群を抜いて、考えることの多い作品でした。

 

そう、考えながら読むのが楽しかった。

 

推理小説の類いは、いろいろ予想しながら読むものですが、犬神家の一族はそれがより顕著に出ていたのではないかと、読破後に振り返りました。

 

単純に、終盤にさしかかれば生きている人間の中に犯人がいることになるので、絞れると言えば絞れますが、アリバイを崩すのがミステリのおもしろさでありつつも、誰にでもアリバイが作れるのも醍醐味。

 

あれこれ想像しながら、読み進めていくと佐清の真意や、佐武の思惑、佐智の勇気について自分なりの後付けができて楽しさが倍増です。

 

決して、明るい話ではないんですけれどねw

 

血みどろの愛憎劇だったり、遺産相続に係る殺し合いみたいなものが全面に描き出されているので、笑いながら読める作品でもありません。

 

しかし、引き込まれる。

もう、その一言。

 

原作を読んだことがなかった僕が、発売から50余年経った現在において読んでみた感想は、古くさいものではなかったと思います。

 

マスク姿の佐清しか知らない方がいたら、ぜひ読んでみて欲しい作品です。

湖から足が飛び出てるあの衝撃シーンにも、ちゃんとした理由があるんです(^^)/