性格が二分あるいは三分する主人公
本日もお読みいただきまして、誠にありがとうございます。ゲシバイヌと申します。
前回、ゼノギアスについての思い出を語っていましたが、その続きを。
奥深く、プレイヤーを思案の海へと誘う謎多きRPG作品の今作。
今回は、僕の見解も含めて思い出を振り返りましょう。ちょっとネタバレも含みますので、ご了承願います。
ゼノギアスの主人公フェイは、その体の中にもう一つ、または二つの人格が備わっています。
何かの拍子に別人格がでてきますが、それらの担う役割というのがあまりにも人間的すぎて感嘆。
破壊を司るイドと、主人格である臆病者、そしてフェイ。
嫌なことを全て押付け、臆病者がなりを潜めれば、イドが人格を握ってしまう。
イドが主人格となったとき、破壊の限りを尽くし村を壊滅状態にしたこともある。
これらが多重人格といえど、フェイ1人でやったことなのかと言われれば、それはちょっと違くて、本当に三者三様の葛藤が描き出されているのが見ものなんです。
作中には接触者という言葉が出てきます。
ゾハルに宿る高次元の存在「波動存在」に接触をしたものがこう呼ばれますが、当然、理解はそう簡単にできません。
僕もいろいろ思い出しながら書いているので、ちぐはぐになっていたら前回同様申し訳ありません。
その接触者というのは、何人かいて、初めに接触したのがアベルという少年。
作中の1万年とか、何千年も前の話なのですが、記憶が引き継がれていきます。いや、転生でしょうか。
接触者の使命は、超兵器デウスを破壊すること。
これ正確には、前述の波動存在の望みみたいなもので、接触者はいいように使われているわけなんです、転生までさせられて。
使命の記憶は、転生してもなお残っていて、つまりは現在の接触者としての記憶を有しているのがフェイ。
接触者の対存在として、エレハイムがおり、このエレハイムはアベルの中にある母性を波動存在が抽出した存在になる。
うーん、前回同様わけわからないw
ただエレハイムが母性で、イドは破壊。
対存在が常に、フェイの周りにはいるわけで、彼が葛藤しているのは葛藤するべくして葛藤しているという見方もできます。
僕としては、ミァン因子がなるほどな、と思っていたので次項はそれについて。
全ての女性の中にミァン因子が
ミァンはアダムとイブのイブみたいなものです。
作中にもミァン単体で、非常に謎めいた人物としてフェイの進行を阻んできます。
いや、実は阻んでいるわけではなかったのかもしれません。
彼女にも使命があったわけです、デウスを再構成させるという。
ゼノギアスが始まる前の話にはなってしまいますが、物語の始まりとして兵器であるデウスが暴走しました。
それを復活させるためには、ヒトが必要。パーツみたいなものですね。
復活させる使命を持ったミァンもアベルのようにオリジナルがいて、そのときからの記憶を有している。
全ての女性にミァン因子があり、いつどこで誰がミァン化するかはわかりません。
死んでも、女性の肉体を使って復活を遂げていきます。
デウスを復活させるために。
しかもミァンは、エレハイムから分化した存在でもあります。
母性をエレハイムが、暗躍というか影で使命を果たすために虎視眈々とパーツ集めをしているのがミァン。
なので、男は男で。
女は女で。
共に歩んでいきたい気持ちはありつつも、遺伝子レベルでやらなければいけないことを大昔からすり込まれているんですね。
そして、ソイレントシステムの話をしなければなりませんね……。
神聖帝国ソラリスから地上を見下ろす
ソラリスは、空中を漂う都市。地上を天空から牛耳っている、神の住まう国家とでもいいましょうか。
地上人はソラリス人に逆らえないようになっています。
ソイレントシステムは、ここにあります。
ソイレントシステムは人体実験の被験者たちの処理施設。
もはや、ここまで書けば何が言いたいのかおおかた詳らかになっていますが、つまりはそういうことです。
地上から人体実験に使う人間を拾ってきて、使い物にならなくなったら、食品加工工場とされているソイレントシステムで、文字通り加工するというわけです。
缶詰に。
まあ、衝撃でしたよねこのシーンは。
前回の記事で紹介したシェバトの素晴らしい曲なんて、吹き飛ぶくらいの。
図式的に見ると、天空国家から地上人を見下しているような感じです。
あるいは、監視されている。
自分よりも高い位置にいる人間や存在がいるからといって、何も遠慮することはないのが今の世の中です。
年功序列制度は徐々になくなっていってるらしいですが、まだまだ古い考えはなくなりません。
ソラリスに住まう人間は地位が高く、地上人は劣等種。
ゼノギアスの世界では、地上人をパーツとみなしているのでしょう。
しかしエレハイムの母性が人々に宿っていたり、フェイも葛藤の末に人格を統合することに成功します。
僕はジブリではラピュタが好きで、ソラリスも一見するとファンタジックな要素が盛り込まれた夢ある都市だとは思うのですが、本作はおそらくそういうところを突いているわけではないんですよね。
未来的でありながらも、実は昔から人間に根付いている負感情を羞恥なくさらけ出している。
人間の卑しい部分を、複雑な設定でごまかすことなく直情的に訴えかけているのではないでしょうか。
話は未だによく理解できませんが、複雑に要素を絡み合わせつつも、なんとなしに言いたいことはわかってしまうような、本当に不思議で記憶に焼き付く作品です。
設定資料集が絶版になっていてなかなか手に入らないですが、機会があれば読み込んでみたいと思っています。
発売から10年以上経っても、こうしてあれこれ考えて議題にできてしまうほどの名作。
再プレイと、設定を解読する時間が欲しいですねw