名前もわからない古本屋に売っていたもの
本日もお読みいただきまして、誠にありがとうございます。ゲシバイヌと申します。
書きながら思い出せればいいのですが、随分昔に訪れた店で、子供心にもひどく衝撃的な、購買意欲そそる商品が置かれていて、それはゲームだったはずで、なんでこんなところに? という気持ちが、十数年の時を経て甦ってきたので記事にしたいと思いますw
結局のところ、店構えと品揃えのギャップ萌えの話です。
何じゃそりゃw
それは、確かに古本屋でした。
小学4年とか、おそらく僕がまだ少年であったころの記憶なので定かではありませんが、当時の僕は関東地方に住んでいました。
このときすでにこち亀には出会っています。
おそらく、持っていない巻を古本屋に探しに行ったのでしょう。
いや、古本屋ではなかったかもしれません。
こぢんまりとした、いかにも個人でやっているような店で、店主が奥の椅子に腰掛けて本を読んでいる……漫画やアニメに出てきそうなスタイルの本屋さんでした。
店内に客は、1人か、いても2人くらい。
雑多に陳列された本棚には、漫画や小説などが並んでいるのですが、店主選りすぐりの作品しか置いてないような印象。
その中でも、一際当時の僕を引きつけたのは、店主の座っている会計机の一端に置かれていた、「ゲームソフト」でした。
これは、たぶんPSのソフトだったと思うんですよ。
でも、まったく知らないタイトルでなぜそこにあるのかもわかりませんでした。
ただ、こち亀の既巻や何か漫画を物色しようとしていた僕に、そのソフトがあまりにも強烈だったんです。
え? なんで本屋に? みたいな。
別におかしいことでもないのです。ゲオだってブックオフだって、ゲームソフトに音楽CD、書籍類を取り扱っているんですから。
しかしなぜあんなこぢんまりとしたあの本屋さんに、どういういきさつでたった1本だけゲームソフトが置いてあったのか、ミステリーでした。
店主との戦い 〜Battle Of Storemanager〜
あのゲームソフトの詳細が知りたい、少年はそう思うようになりました。
頻繁に通うことになるわけではなかったのですが、本よりもゲームソフトが気になってしょうがなったので、パッケージだけでも確認したかったんです。
というのも、ゲームソフトの詳細を知りたい場合、第1に手にとって確かめるという手段をとらなければなりません。
なれば、店主が本を読んでいる玉座付近まで近づかなければいけない。
狭い店内といえども、入り口付近の棚からゲームソフトをのぞき込むなど無理です。
僕の目が悪いのもありますが、単純にそれくらい距離が離れていたら、ゲームソフトのパッケージがぼんやり見えてくるくらい。
かといって、だんだん接近していくのも怪しまれる。
本を読みながら、手に取りながら近づいていく方法を試すほど、小学生の僕には余裕がありませんし、「ちょっと、このゲーム見せてください」とか、訊けるくらい肝が据わっていませんでした。
なんか、恥ずかしかったんだと思います。
今も人と接する仕事はしていますが、根底にいる僕は内弁慶な奴なので、まだ殻を破るまでには時期尚早のころの話でした。
何回か通う内に、パッケージが明らかになってきます。
商売っ気のない店主、こぢんまりとした店、客はいない。
そればかりが頭の中にあり、最終的にパッケージを間近で見るまでには至ったのですが、肝心のタイトルが思い出せないw
カムイとかなんか、そういう忍者的な奴だった気がします。
パッケージよりも玉座におわす店主の目をかいくぐることに集中していたので、ゲームソフトだとわかっているだけで、記憶の改竄が行われているかもしれませんw
でも、子どもながらにああいう雰囲気の本屋さんは、いいなと感じていたのだと思います。
選ばれし者にしか買えないゲームソフトが、そこにあったのです。
ギャップは生まれるのではなく作るものかもしれない
販売の戦略として、客に衝撃を与えるためには数々のカモフラージュを仕込んでおく必要があります。
例えば、駄菓子屋さんにショットガンが98万円税別くらいで販売されていたら、値段どうこうよりも、何故? が頭に浮かびます。
そこにあるはずのないものがあったりすれば、人間はまず驚きます。
この本屋さんでは、あるはずのないものとまでは言い難いですが、1本だけゲームソフトが置いてあったということがポイントになってくるのは確か。
本棚の占有面積の4分の1程度でもゲームソフトが置いてあるコーナーが設けられていれば、「ああ、そういう店なんだ」と、気軽にパッケージはおろか、裏面の紹介文を読むこともできたはずです。
しかも、玉座に座っている店主の目の前にゲームソフトが置いてある。
まるで、宝の番人のようです。
商店街から少し小路を行き、居住区に沿い歩いていると、何の店かわからないような建物が並んでおり、その一角に佇む本屋さん。
もうすでに、店は閉めている可能性は極めて高いですが、何かの機会に関東に足を運ぶことがあれば、記憶をたどって訪ねてみたいですね。
ギャップは重要です。
ツンデレは今や古いキャラ属性ではありますが、大人になって振り返ってみると、店自体にもギャップがあったんだと思った次第です。
店主も実は、ツンデレだったのかもしれませんね。